クモでモニタキャリブレーターを作ろう(1)

写真のレタッチなどをするには、モニタが正しく色を表示しているのが大前提となります。
しかし、この色調整は目視では限界があり専用の装置が必要になります。
モニタキャリブレーターがそれで、モニターの表示面にセンサーをとりつけ、付属ソフトによる画面の色変化とセンサーで得た実際の色の差をもとに補正情報(ICM等のカラーマネージメント情報)を生成します。
この情報をドライバーやアプリに設定することで、正しい色に補正されて表示が行われます。
ただこういった製品はプロ用のため一般に高価です。
もっとも最近は安価な製品もでており、Hueyなどの製品は、定価14,800円となっています。
とはいえまだ気軽に手を出せないかなー。もうちょっと安く句ならないでしょうか(計測器はちゃんと校正されていることに価値がるので、ハードの単純・複雑で語るものではないのですが・・・)。


そこで!
光センサー(CdS)とマイコン(MC9S08QG4)を組み合わせて自作してしまおうと考えました。


とりあえずCdSセンサーを買ってきました(データシート無し)。
このセンサーは明るさで抵抗値が変化します。



【測定実験】
モニターにテープで貼り付けて部屋を暗くして、PhotoShopで画像の明るさを変化させてテスターで抵抗値を調べてみました。



(モニターに貼り付け)



(測定結果)


抵抗値はリニアに変化するというわけではないようです。
またセンサー個体ごとにばらつきがあると思われます。
そこで、実際に作るときは、白色LEDをつかって自動校正する機構をつけようと思います。
最初に使うときは、LEDとCdSセンサーを対向にして、PWMでLEDの明るさをリニアに変化(するのか?)させて、そのときの抵抗値を計測して明るさと抵抗値のテーブルを作ります。


また、色によって明るさがかなり違います。赤がいちばん明るく青がもっとも暗いです。
色毎の比率は、設定したい色温度によってもかわってくるのでここだけはプリセット値をもっておけばいいかなあ。色毎の感度に個体差があるとダメですが。



【パソコンとの接続案】
パソコンとの接続は、シリアル通信が手軽ですが8pinのマイコン(QG4)ではシリアルのピンが対応していません。
でも、マイコン→PCの一方通行だったら、PIOを制御してシリアル信号つくれそうです。これはこれで一度やってみたかったので試してみます。



【測定値を得たら?】
本当は測定値をもとに、ICMデータなどのキャリブレーション情報を作成できれば一番いいのですが、データの構造などが良くわからないので、以下の妥協案。
画面上に、グレーおよびR,G,B毎のカーブをグラブ表示して、ビデオカードやモニターの調整機能をつかって、このカーブが直線になるように調整する。
という調整補助ツールということでどうでしょう。



【パーツ構成】
マイコン (MC9S08QG4)
 TPMCH0 → 校正用白色LED (PWM制御)
 ADP1 → CdS光センサー
 PTA2 → 校正開始ボタン入力
 PTA3 → PCへの偽シリアル信号送出
CdS光センサー (+増幅用トランジスタは要る?)
白色LED
RS232CインターフェースIC (ADM3202AN)
・D-SUB9ピン シリアルコネクタ
・電源ケース(単3電池x2)


 ケースや遮光フードつくっても1000円で部品は揃いそう。



【実際の利用イメージ】

1) PCとの接続
 シリアルケーブルで接続。
 計測ソフト(これは専用に作る)を起動しポートを選択


2) 校正 ※最初の1回だけ
 計測ソフトを校正モードにする


 マイコン側の光センサーに(遮光チューブで)LEDを対向させ、マイコン側の「校正開始ボタン」を押す。
 LEDの明るさごとの抵抗値(ADコンバートされた12bit値)が、PCに連続しておくられてくる。
 PC側ではこれを記録して、抵抗値→明るさ変換テーブルを作成。ファイルに保存。


3) 測定
 マイコン側の光センサーをモニターに取り付ける。
 (遮光のための吸盤みたいなものを用意する予定)


 マイコンからは、明るさの情報が逐次送られてくる。


 PC側では、モニターの明るさを変えて(0〜255)、その際のマイコンからの明るさ情報を記録。測定は白(グレー)・赤・緑・青の4回行う。


4) 表示
 PC側では測定結果をグラフ表示
 グラフの結果に問題があれば、ビデオカードやモニターを調整し、3)から繰り返す




【最後に】
測定値の正確性から実用性はともかく工作ネタとしては面白そうではないでしょうか。
必要とするひとが大変限られるような気がしますが…


それにしても、これなんのを作ろうとした矢先にモニタキャリブレーターをプレゼントされちゃったりしたら、作る意味がなくなって困るなあ。ホント、大変非常に困りますねぇ。くれぐれもそんな極悪非道なことは決してしないでくださいね。お願いでです。